同人かけこみ堂(α版)
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同人イベント用語、なんもわからん人へ【一般参加者向け】

2026.04.30

知らない単語が多すぎる

友達に誘われて同人イベントに行くことになった。あるいはSNSで気になる作家さんを見つけて「イベントで新刊出します!」という投稿を見て、行ってみたくなった。

でも調べれば調べるほど知らない言葉が出てくる。

頒布。スペース。お品書き。買い専。売り子。

日本語なのに意味がわからない。「頒布」って販売と何が違うの?「スペース」って宇宙?

というわけで、初めて同人イベントに一般参加する人向けに、最低限知っておくと当日困らない用語をまとめた。サークル参加者向けの印刷用語は別の記事に書いたので、ここでは買いに行く側が知っておくべき言葉だけに絞る。


会場で出会う用語

スペース

サークル(出展者)に割り当てられた場所のこと。長机の半分(90cm×45cmくらい)で1スペース。本やグッズが並んでいるあの机のことだと思えばいい。

「○○さんのスペースに行く」「スペースNo.はA-23a」のように使う。当日はお品書きやSNSに書いてあるスペースNo.を頼りに目的のサークルを探すことになるので、事前にメモしておくとスムーズ。

一般参加者として知っておきたいマナーが2つある。まず、スペースの前に長時間居座らないこと。本を選んでいる間に後ろで待っている人がいるかもしれない。買うものが決まったらサッと会計して、感想を伝えたい場合も手短にするのが親切。もう1つは、隣のスペースにはみ出さないこと。荷物を置いたり、人だかりが隣にかかったりすると、隣のサークルのお客さんが近づけなくなる。長机1本を2サークルで共有しているので、目の前のスペースだけで完結する意識を持っておくと周りもハッピー。

ホール

イベント会場の建物や区画のこと。ビッグサイトなら「東1ホール」「西3ホール」のように分かれている。スペースNo.だけ見て「あれ、たどり着けない」となる場合、そもそもホールが違うことが多い。

大規模イベントだとホール間の移動だけで10分以上かかることもある。お目当てのサークルが複数ホールにまたがっている場合は、回る順番を事前に考えておくと体力の節約になる。

お品書き

サークルが「当日こういうものを持っていきます」という一覧のこと。メニュー表みたいなもの。タイトル、価格、ジャンル、カップリング、新刊かどうかなどが書いてある。

イベント前にSNSやpixivに投稿されることが多いので、気になるサークルのお品書きを事前にチェックしておくと「何を買うか」「いくら持っていくか」の計画が立てやすい。当日はスペースにも掲示されている。ちなみにサークル側はお品書きメーカーのようなツールで作っていたりする。

設営(せつえい)

イベント開始前に、サークルが自分のスペースに本やポスターを並べて準備すること。「設営完了!」というSNS投稿を見かけたら、それはサークル主が机の上をきれいに整えましたよ、という報告。

一般参加者には直接関係ないが、イベントによっては「サークル入場(設営時間)」と「一般入場」で入場時刻が分かれている。一般参加者は一般入場の時間まで入れないので、間違えて早く行きすぎないように注意。

撤収(てっしゅう)

イベント終了後にサークルが荷物を片付けて撤退すること。「撤収!」はイベント終了の合図みたいなもの。

注意したいのは、イベントの終了時刻より前に撤収するサークルもいるということ。完売したり、体力の限界だったり、理由はいろいろ。「閉会ギリギリに行けばいいや」と思っていると、お目当てのサークルがもう帰っていた……ということが普通にある。余裕を持って回ろう。

最後尾札(さいこうびふだ)

人気サークルの列に並ぶ時、「列の最後尾はここですよ」と後から来る人に示すための札のこと。列の一番後ろの人が持ち、新しい人が来たら渡していくリレー方式。

初めて渡された時はちょっとびっくりするかもしれないけど、次に来た人に「最後尾です」と言って渡すだけ。難しいことは何もない。ただ、最後尾札を持っている間はその場を離れないこと。トイレに行きたくなったら…… まあ、並ぶ前に済ませておこう。


人にまつわる用語

買い専(かいせん)

自分では本を作らず、買う側としてイベントに参加する人のこと。「買い専門」の略。

「買い専だけどイベント行っていいのかな」と不安になる人がたまにいるけど、全く問題ない。即売会は買う人がいないと成り立たないし、作り手にとって自分の本を手に取ってもらえることほどうれしいことはない。堂々と行っていい。

買い子(かいこ)

特定のサークルやイベントで、誰かの代わりに(または頼まれて)本を買いに行く人のこと。友達同士で「私はAホール回るからBホールお願い」と手分けするのも買い子の一種。

人気サークルは開場直後に長蛇の列ができるため、1人では回りきれない場合に買い子を頼むことがある。頼まれた場合は、サークル名・スペースNo.・欲しい本のタイトル・冊数をしっかり確認しておくこと。間違えると気まずい。

売り子(うりこ)

サークルスペースで本の受け渡しやお会計を担当する人。サークル主本人がやっている場合もあれば、友人に頼んでいる場合もある。

買う側として知っておくべきことは、売り子さんは必ずしも作者本人ではないということ。「この本の続き出ますか?」「感想です!」と熱く語りかけた相手が売り子さんだった場合、本人に伝わらないこともある。名札に「売り子」と書いてあったらそういうこと。ちなみに自分も名札を作りたくなったら名札メーカーで作れる。一般参加者用のプリセットもある。


お金・取引にまつわる用語

頒布(はんぷ)

同人イベントでは「販売」ではなく「頒布」という言葉を使う。「広く配り分ける」という意味。

なぜわざわざ言い換えるかというと、同人誌は商業的な「商品」ではなく、あくまで個人の創作活動の成果物だから。利益を出すことが主目的ではなく、自分の作品を届けるための手段としてお金をもらっている——という建前(そして多くの場合は本音でもある)がある。

買う側は特に気にしすぎなくていいが、「売ってください」より「1冊ください」の方が自然。

取り置き(とりおき)

イベント当日に確実に本を入手するために、事前にサークルに「○○を1冊取っておいてください」とお願いすること。

全てのサークルが取り置きに対応しているわけではない。取り置きをお願いする場合のルールはサークルごとに異なるので、お品書きやSNSのプロフィールに案内が書いてあるか確認すること。書いていなければ基本的にやっていないと思った方がいい。

お願いしたのに取りに行かない(バックレる)のはめちゃくちゃ迷惑なので、取り置きを頼んだら必ず行くこと。これだけは本当に。

通販(つうはん)

イベントに行けない人向けに、自家通販やBOOTH・とらのあな等の委託サービスを通じて本を購入できる仕組み。イベント後に通販が始まることが多い。

「イベント行けないけどこの本欲しい……」という場合は、サークルのSNSやpixivで通販情報が出るのを待つのが基本。ただし通販をやっていないサークルもあるし、イベント限定の本(特にコピー本)は通販されないことも多い。どうしても欲しい本がある場合は、なんとかしてイベントに行った方が確実。

完売(かんばい)

その本の頒布が全て終了したこと。「売り切れ」とほぼ同じ意味だが、同人イベントでは「完売」の方が一般的。

人気サークルの新刊はイベント開始から数十分で完売することもある。お品書きで「この本は絶対欲しい!」と思ったら、開場後なるべく早くそのスペースに向かうのが吉。ただ、完売していても落ち込みすぎないでほしい。通販や再版の可能性もあるし、そのサークルの他の本に出会えるかもしれない。

差し入れ(さしいれ)

好きなサークルや知り合いのサークルに、感謝や応援の気持ちとして贈り物を渡すこと。お菓子や飲み物が定番。

必須ではない。むしろ初参加なら無理に用意しなくていい。本を買うだけで十分うれしいのが本音だ。それでも「何か渡したい」と思ったら、個包装のお菓子(市販品)あたりが無難。手作り食品はアレルギーや衛生面の不安があるので避けた方がいい。

大事なのは、差し入れに自分の名前(ペンネーム可)を書いておくこと。誰からもらったかわからないと、サークル主がお礼を言えなくて申し訳ない気持ちになる。名前を書いたシールを貼っておくだけで十分。差し入れシールメーカーで作れるので、よかったらどうぞ。差し入れにまつわる話はコラムにも書いた。


おわりに

ここまで読んだら、もう「なにもわからん」ではない。

即売会は独特の文化と空気がある場所だけど、基本的にはみんな「好きなものを共有したい」人たちの集まりだ。細かいことは現場で覚えればいい。最初は友達や、スペースの売り子さんに聞けば大抵のことは教えてもらえる。当日の持ち物が不安な人は持ち物チェックリストも使ってみてほしい。

ちなみに印刷や入稿まわりの用語が知りたい人は「同人誌の印刷用語がわからない文字書きへ」に書いたので、そちらもどうぞ。

同人かけこみ堂(https://doujin-kakekomi.com)は、即売会参加者のための無料ツール集。お品書き、値札、折り本、原価計算——初参加の準備にも使えるので、よかったら覗いてみてください。

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