同人誌の印刷用語がわからない文字書きへ【入稿前に読む用語集】
2026.03.26
印刷所のサイト、日本語なのに読めない
原稿が終わった。終わったのだ。
脱稿のハイで震える手でPixivに完成報告を上げ、印刷所のサイトを開き、入稿フォームに進む。ここからは事務作業だ。楽勝——と思ったら、知らない単語だらけだった。
小口。ノド。塗り足し。化粧断ち。PP加工。
日本語のはずなのに読めない。いや読めるけど意味がわからない。「小口」って何。本の端っこ? 端っこのどこ? 右? 左? 上?
というわけで、過去の自分のために印刷用語をまとめた。「最低限これだけ知っておけば入稿画面で固まらない」くらいの粒度で書く。
本の各部分の名前
まず、本を手に取った時の各パーツの呼び名。入稿画面で突然出てくるので先に覚えておく。
小口(こぐち)
本を閉じた状態で、ページをめくる側の辺。右綴じの本なら左側、左綴じなら右側。要するに「開く方の端っこ」。
ノド
小口の反対側。本の背に近い、綴じている側の部分。ノド側に文字を詰めすぎると、本を開いた時に読めなくなる。文字書きには死活問題。原稿のテンプレートに「ノド側余白」が設定されているのはこのためで、印刷所の指定通りにしておけば大丈夫。
背幅(せはば)
本の背表紙の厚み。ページ数と紙の厚さで決まる。文庫本の背表紙を横から見た時の、あの幅のこと。薄い本だと背幅がほぼゼロなので気にしなくていいが、100ページを超えてくると表紙データに背幅分の領域が必要になる。印刷所のサイトに背幅の自動計算ツールがあることが多い。
入稿データまわりの用語
入稿フォームで一番混乱するゾーン。
断ち切り(たちきり)/塗り足し
仕上がりサイズの外側に3mmほど余分につける領域のこと。印刷後に紙を裁断する時、ほんの少しズレることがあるので、そのズレても白い余白が出ないようにするための保険。「断ち切り」と「塗り足し」はほぼ同じ意味で使われる。
文字書きの場合、本文は基本的に気にしなくていい(テンプレートに含まれている)。表紙を自作する場合だけ意識する。
ノンブル
ページ番号のこと。「1, 2, 3...」ってやつ。印刷所は製本時にページ順を確認するためにノンブルを必須にしていることが多い。隠しノンブル(目立たない位置に小さく入れる)でOKな印刷所もある。Wordで原稿を書いている人は、ヘッダー/フッターにページ番号を入れておけばそれがノンブル。
ページ数の数え方
ここで混乱する人が多い。印刷所によって「表紙込みのページ数」で数える場合と「本文のページ数」で数える場合がある。
基本ルール:表紙(表1)→表紙裏(表2)→本文→裏表紙裏(表3)→裏表紙(表4)で、表1〜表4の4ページ+本文ページ数=総ページ数。印刷所の注文画面で「ページ数」と書いてあったら、表紙込みか本文のみかを必ず確認する。間違えると4ページずれて地獄を見る。
台割(だいわり)
どのページに何が入るかを整理した表のこと。表1(表紙)、表2(表紙裏)、本文p1〜p○○、表3(裏表紙裏)、表4(裏表紙)——という構成を事前に決めておくもの。
短い本なら頭の中で管理できるが、再録集や複数話収録の場合はちゃんと作った方がいい。「あれ、目次のページ数が合わない」事件を防げる。
奥付(おくづけ)
本の末尾に入れる発行情報のこと。タイトル、発行日、著者名(ペンネーム可)、印刷所名、連絡先(メールアドレスやSNS等)を記載する。同人誌では必須。印刷所の入稿ルールで義務付けられていることが多いし、何かあった時の連絡先としても必要。忘れずに入れよう。
綴じ方と仕上げの用語
綴じ方向(右綴じ・左綴じ)
縦書き=右綴じ、横書き=左綴じ。文字書きの小説はほぼ縦書きなので右綴じ一択。ただし横書きエッセイ風にしたい場合は左綴じ。入稿時に間違えると本文の方向と綴じが逆になって、ページをめくるたびに混乱する本が爆誕する。
化粧断ち(けしょうだち)
製本後に本の小口・天・地の三辺を裁断して揃えること。これ自体は印刷所が勝手にやってくれるので、入稿時に何か設定する必要はない。ただ「化粧断ち」という言葉が入稿ガイドに出てきた時に「何これ」とならないために知っておくと安心。
紙と加工の用語
本文用紙
本文に使う紙。文字書きに関係するのはだいたいこの2種類。
上質紙:コピー用紙に近い白い紙。安い。ただし裏写りしやすく、長時間読むと目が疲れる。
書籍用紙(淡クリームキンマリ等):商業小説の本文に使われているようなクリーム色の紙。目に優しい。裏写りしにくい。文字書きならこっちが圧倒的におすすめ。
紙の厚さは「kg」で表記される(四六判で70kgとか90kgとか)。数字が大きいほど厚い。知らない紙でもこれで判断できる。ページ数が少ないなら厚め、多いなら薄めを選ぶと本の厚さがちょうどよくなる。わからなかったら印刷所のおすすめに従えばOK。
表紙用紙
表紙に使う紙。こちらは種類が多すぎて全部説明するのは無理なので、印刷所の推奨を選んでおけばまず問題ない。迷ったら「アートポスト」系が無難。
PP加工
表紙の表面にフィルムを貼る加工。ツヤツヤの「クリアPP」とサラサラの「マットPP」がある。
クリアPP:表紙の色が鮮やかに見える。ツルツルした手触り。
マットPP:落ち着いた上品な質感。指紋がつきにくい。小説本には個人的にマットPPが好き。
PP加工なしだと表紙が傷つきやすいので、特にこだわりがなければどちらかつけておいた方がいい。
遊び紙(あそびがみ)
表紙と本文の間に挟む、何も印刷されていない紙のこと。装丁のアクセントになる。無料でも色が選べたり、課金すると特殊な紙も使えたりする。楽しい。
おわりに
入稿画面で知らない単語が出てきても、だいたいこのあたりを押さえておけばなんとかなる。わからない用語が出てきたら印刷所のFAQかヘルプを見れば大抵載っている。それでもわからなかったら印刷所に問い合わせればちゃんと教えてくれる。印刷所の人は優しい。
ちなみに、私が実際に入稿でやらかした話はnoteに書きました。全部実話です。
同人かけこみ堂は、原稿以外のことを全部なんとかするためのサイトだ。原稿でHPが2になったら使いに来てほしい。
