同人誌の通販、手数料のこと考えてる?【はじめての自家通販】
2026.03.21
通販、まだやったことない?
イベントで本を出していると、いつか必ずこう言われる。
「通販ありますか?」
ありがたい。本当にありがたい。でも初めて言われたとき、正直こう思った。
通販って、どうやるの。
梱包とか発送とか住所のやりとりとか、なんか大変そうだし、そもそもどこで売ればいいのかわからない。BOOTHってよく聞くけど、あれってなに? とらのあなって名前は知ってるけど……。
結局、最初のイベントでは「通販の予定はありません」と答えてしまった。
もったいなかったなと、今では思う。
昔に比べたら天国
ちょっと昔話をしたい。いや、私の実体験ではなくて伝聞なんだけど。
ひと昔前の同人通販は、「ペーパーに通販案内を書いて、郵便小為替を送ってもらう」というスタイルだったらしい。
郵便小為替。郵便局で買える金券みたいなやつ。これを封筒に入れて相手に郵送して、受け取った側が郵便局で換金する。返信用封筒に切手を貼って同封するのもお約束だったとか。
お互いの住所は丸見え。届くまで何日かかるかわからない。在庫管理は手書き台帳。入金確認はポストを覗きに行く。
……この時代だったら私は絶対に通販できなかったと思う。
それに比べたら、今は天国だ。BOOTHにショップを開設するのに5分もかからない。匿名配送で住所もバレない。決済はクレジットカードで一瞬。在庫管理も自動。
だから軽率にやってみるといいと思う。本当に。「通販ってなんか大変そう」で止まっているなら、思っているほど大変じゃない。やってみたら「あ、こんなもんか」となる。
ただし。
手数料のことだけは、先に考えておいてほしい。
売れれば売れるほど赤字だった話
これは私の恥ずかしい実体験。
あるとき初めて自家通販をやった。イベントで頒布したものをBOOTHに並べて、イベントと同じ価格で。通販手数料のことなんて、頭の片隅にもなかった。梱包材の費用のことも。
ありがたいことにけっこう注文が来た。梱包して、コンビニに持ち込んで、発送して。楽しかった。「通販って意外とできるじゃん」と調子に乗っていた。
半分以上売れたあたりで、ふと気づいた。
あれ、なんかおかしくない?
改めて計算してみたら、赤字だった。
通販手数料と梱包材のコストを丸ごと忘れていた。1冊売るたびにじわじわマイナスが積み上がる構造。しかも売れれば売れるほど赤字が拡大していく。でも「通販あります」と告知してしまったし、買ってくれた人もいるし、今さら値上げなんてできない。
結局、在庫がなくなるまでそのまま売り続けた。
良い思い出……とは言えないけど、まあ、良い勉強にはなった。
だからこれを読んでいる人には、同じ失敗をしてほしくない。
手数料はサービスによって全然違う
通販の手数料は、大きく分けて二種類ある。
自家通販(BOOTH、pictSPACE等)は手数料が安い。だいたい売上の5〜10%くらい。自分で梱包して自分で発送する代わりに、取られる分が少ない。ただし地味な落とし穴として、BOOTHやXfolioでは匿名配送の送料にも手数料がかかる。送料は購入者負担だけど、送料分の手数料はサークル持ちになる。1冊あたり20円程度とはいえ、積もればそれなりの額になる。
書店委託(とらのあな、メロンブックス/フロマージュ等)は手数料が高い。売価の30%。でもその代わり、梱包も発送も全部お任せ。店頭にも並ぶ。検索で見つけてもらえる。自分では届かない層に届く。
自宅に在庫を置くスペースがあって、梱包・発送の手間が苦にならないなら自家通販のほうが手取りは多い。「在庫が部屋を圧迫して困る」「梱包が面倒すぎる」という人には、手数料は高くても書店委託で全部お任せするという手もある。
ちなみにBOOTHには「倉庫から発送」という機能がある。在庫をBOOTHの倉庫に預けておけば、注文が入ったら倉庫から直接発送してくれる。手数料は自宅発送より少し高くなるけど、書店委託の30%に比べたらずっと安い。家に置くスペースがない人は検討してみてもいいと思う。
初心者はBOOTHでいい
通販サイトは色々ある。BOOTH、pictSPACE、赤ブーのFOLIO。書店委託ならとらのあな、フロマージュ、まんだらけ、アリスブックス。他にもXfolioとか、最近は選択肢が増えている。
正直、多すぎて何を使えばいいかわからなくなると思う。
でも初めての通販なら、BOOTHでいいんじゃないかな。
pixivアカウントがあればすぐ始められる。審査がない。匿名配送に対応している。同人をやっている人のほとんどがアカウントを持っているから、購入者のハードルも低い。使っている人が多いということは、困ったときにネットで情報が見つかるということでもある。
慣れてきたら他のサービスを検討すればいい。最初の一歩で迷いすぎて結局やらないのが一番もったいない。
梱包材も原価のうち
自家通販をやるなら、忘れちゃいけないのが梱包材のコスト。
最低限必要なのは、OPP袋(水濡れ防止)と封筒とテープ。折れ曲がりが心配な本の場合は厚紙やダンボール台紙も入れたほうがいい。全部合わせると1冊あたり50〜100円は見ておいたほうがいい。
100冊通販したら、梱包材だけで5,000〜10,000円。送料は購入者負担だとしても、梱包材はサークルの持ち出しだ。
これを忘れて価格を決めると、私と同じ轍を踏む。
通販は会場より高くて当然
通販の価格がイベント価格より高くなるのは当たり前のこと。
手数料がかかる。梱包材がかかる。発送の手間もかかる。それは買う側もわかっているので、通販価格が100〜200円高くなっても文句を言う人はいないと思う。
気にしすぎてイベント価格を据え置いた結果、知らないうちに赤字だった——というのが一番よくない。それは私が身をもって実証済み。
手数料の仕組みを知ったうえで、自分が納得できる価格をつけよう。同人かけこみ堂の原価・利益計算ツールで通販手数料込みのシミュレーションができるので、よかったら試してみてください。
各通販サイトの手数料比較、noteにまとめました
この通販手数料シミュレーション機能を作るにあたって、主要な同人通販サイトの手数料体系をひと通り調べた。BOOTH、pictSPACE、赤ブーFOLIOはもちろん、ツールにプリセットとして実装していないXfolioやまんだらけ、アリスブックスなども含めて。
せっかく調べたので、各サービスの手数料・振込条件・匿名配送の対応状況・2025〜2026年の制度変更まで含めた比較をnoteにまとめました。「結局どこで通販すればいいの?」という人の参考になればうれしいです。
通販のお慈悲をください。
